神田のある母子の記憶 その4

神田のある母子の記憶

すると子猫の視線が急に私から横に外れ、
子猫は前足で地面を蹴り視線の方向にダッシュした。
後ろに蹴ることができない右足を必死に動かし走る。

子猫の走った先には母親と思しき猫がいた。
母猫は路地の闖入者である私を一切無視し、
ただただ子猫をなめ頬ずりをする。

この母子に幸あれと祈りつつ闖入者は路地を後にした。
何もできない無力感と、
何かできることがあればしたいという
いつもの気持ちを両方抱えながら

※母親だったのか、父親だったのか、そもそも親子だったのかまでは
 不明なのでずっとお蔵入りさせていた一連の写真でした。